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トップ>>法人向けサービス>>節税対策>>役員貸付金を、役員退職慰労金で精算して経費にする
役員貸付金を、役員退職慰労金で精算して経費にする
★ポイント

  ・役員貸付金が多額にある場合、その役員に退任してもらい、退職慰労金として貸付金を相殺し経費にすることができる

  ・貸付金と退職慰労金を相殺する方法は、資金負担が不要

  ・受け取る役員側での税負担も、非常に軽い

  ・退職慰労金の金額が、税務上の適正額を超えないようにする必要がある

  ・支給の原因となった、退任・分掌変更の事実は、形式的なものでないことが必要


●役員貸付金を役員退職慰労金と相殺すると、資金負担なく節税が可能になります

会社が創業者役員などに対して多額の貸付金を有している場合、役員退職慰労金を支給することにし、現金の支給に替えて貸付金と相殺することにすれば、貸付金を清算すると同時に役員退職慰労金が税務上の経費になるため、資金負担なく節税を行うことが可能になります。

役員に対する貸付金は返済を考慮していないことが多いため、役員が会社に対し現金で返済することには難しいことがしばしばです。

また役員貸付金に対しては、会社は収益となる受取利息を計上する必要があるので、残高が残っている限り会社は受取利息を収益計上し、それに対する税金を払わなければなりません。

さらに役員貸付金は、金融機関から見ると実質回収することができない資産とされることがほとんどなので、役員貸付金が貸借対照表に計上されていることはマイナス評価の要因となってしまいます。

退職慰労金と相殺するこの方法によれば、現金を支払うことなく貸付金を清算することが可能になるので、会社の節税対策になると同時に、金融機関対策としても有効になってきます。

●役員退職慰労金は、受け取る役員側の税負担も軽い

また退職慰労金は受け取る役員についても、税負担はかなり軽いものになっています。

退職慰労金は所得税の計算上、「退職所得」になり次の算式により計算した「退職所得控除額」を超えない場合は無税、超える場合においても受取額から退職所得控除額を引いた金額を1/2にした金額を所得として扱います。

★退職所得控除額

  勤続年数20年以下   40万円×勤続年数

  勤続年数20年超    800万円+70万円×(勤続年数−20年)


また分離課税で他の所得と合算することなく、退職所得のみで累進税率を適用するため、他にも所得がある場合にも過重な負担なく支給することができます。

★税額の計算

 1、不動産所得、給与所得、配当所得などの総合所得

   合算額×累進税率

 2、退職所得

  (受取額−退職所得控除額)×1/2×累進税率

 ※退職所得のみで累進税率を適用するため、非常に有利


●退職慰労金を経費にするには、税務上認められる適正額を超えないようにする必要がある

役員退職金を支給するにあたって、「支給額が税務上認められる適正額を超えないようにすること」という点に注意する必要があります。この適正額を超えてしまうと、その超えた金額は、会社の経費にならないことになります。


法人税法では適正額を「『当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等』に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額」としています。

実務的には、「平均功績倍率方式」又は「役位別評価方式」という方法により計算することになります。

(1)平均功績倍率方式

平均功績倍率方式は最も一般的な限度額の計算方法です。

こちらの方法による適正額の計算方法は、その役員の

 最終報酬月額×勤続年数×功績倍率(1倍〜3.5倍程度 役職によって変わります)

となります。 

この方法の欠点は退職時における役員報酬の月額が低いと、限度額がそれにつれて低くなってしまうことです。以下のような役員退職金規定があるA社の例で確認してみましょう。


★ケース1:A社の現役の社長が社長のまま退職した場合

○経歴

 社長    5年

 専務    3年

 平取締役 5年

 合計    13年


○最終報酬月額: 100万円

○功績倍率

○限度額の計算 100万円×13年×3.2=4,160万円


★ケース2:A社の社長が社長から会長に退き、同時に報酬も減額していた場合

○経歴

 会長     1年

 社長     4年

 専務     3年

 平取締役  5年

 合計     13年


○最終報酬月額: 20万円

○限度額の計算 20万円×13年×3.2=832万円


このように平均功績倍率方式は、退職者が既に一線を退き役員報酬を減額している場合には、損金算入が認められる金額が非常に低くなってしまうので、注意が必要です。


(2)役位別評価方式

上記のように退職時の報酬額が少ないと、退職金の限度額も少なくなってしまうのが平均功績倍率方式ですが、こちらの欠点を補うのはこの「役位別評価方式」です。

こちらの方法による適正額の計算方法は

 役位別の最終報酬月額×役位ごとの勤続年数×役位ごとの功績倍率

となります。

(1)の平均功績倍率と同じケースで、限度額がどう変わるかみてみましょう。

★ケース1:A社の現役の社長が社長のまま退職した場合

○経歴

 社長     5年  最終報酬月額  100万円

 専務     3年  最終報酬月額  80万円

 平取締役  5年  最終報酬月額  50万円

 合計     13年

○限度額の計算 

 社長     100万円×5年×3.2=1,600万円

 専務     80万円×3年×3.0=720万円

 平取締役  50万円×5年×2.5=625万円

 合計     2,945万円

★ケース2:A社の社長が社長から会長に退き、同時に報酬も減額していた場合

○経歴

 会長    1年 最終報酬月額 20万円

 社長    4年 最終報酬月額 100万円

 専務    3年 最終報酬月額 80万円

 平取締役 5年 最終報酬月額 50万円

 合計    13年

○限度額の計算 

 会長    20万円×1年×3.2=64万円

 社長    100万円×4年×3.2=1,280万円

 専務    80万円×3年×3.0=720万円

 平取締役 50万円×5年×2.5=625万円

 合計    2,689万円

こちらの方法であると、役位ごとの報酬額と在位年数が加重平均されるため、退職直前に役員報酬を減額した場合などには、有利になります。

いずれの方法による場合においても、しっかりとした「役員退職慰労金規定」を整備し、支払った役員退職慰労金を損金算入することについて合理性があることを説明できるようにしておく必要があります。


●支給の原因となった退職や分掌変更等の事実が、形式的なものではないことも必要です

なお役員退職慰労金を支給するには、当然その役員は退任するか、分掌変更によりその地位や担当業務が大幅に変わる事が必要です。

分掌変更の具体例としては、税務上、下記のような例示があります。


(1)常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。 

(2)取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。 

(3)分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。


役員の退任が形式的なもので、経営権は実質退任役員が握っているなど、退任前と退任後の状況がほとんど変わっていない場合には、退任の事実がないものとして退職慰労引当金が税務上の経費と認められなくなってしまうので、注意する必要があります。

認められない場合には、過大な役員給与とされて会社の経費にならないばかりか、給与として計算するため多額の源泉所得税の計上もれが発生するため、金額も大きいこともあって目も当てられないことになってしまいます。くれぐれも慎重に処理することが重要です。



当事務所は適切な月次決算に基づき、毎月または隔月で利益予測・納税予測を行い、余裕をもってお客様の現状に応じた節税策を提案させていただきます。


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